今年も大学入試センター試験(以下、センター試験)が終了しました。自己採点結果を持参し、自己最高得点に歓喜する生徒、2次試験での逆転に向けて決意を新たにする生徒…想いはさまざまです。どの生徒にとっても、これからが正念場です。私たちも、最後まで全力でサポートし続けていきたいと考えています。
平均点6割は、高いのか低いのか
このセンター試験、平均点は、年により変動があるものの概ね6割前後です。この平均点6割について、みなさんは、「高い」と見るでしょうか。それとも「低い」と見るでしょうか。
全国規模で行われている、高1・2生の模試では、センター試験と遜色ない受験分母でありながら、その平均点は4割にも満たないことがよくあります。もちろん、各学年における到達度を測る模試と、大学入学に必要な学力の完成度を見るセンター試験という視点の違いからは、平均点の高さを単純比較することは難しいかもしれません。しかしそれでも、どの模試よりも分母を多く抱えているという意味において、このセンター試験の平均点は、一般的には「比較的高い」と言えるでしょう。
ところが、センター試験の試験範囲からこの平均点を見る場合、意外と低い平均点であるという見方もできます。英語・数学・国語といった主要科目については、高1・2生の学習内容がほぼ試験範囲をカバーしています。もちろん、理科・地歴・公民のように、入試ぎりぎりまで新出項目を扱う教科もありますが、それでも全体的には高1・2内容といって差し支えないでしょう。
ということは、いわゆる受験生が、学力のピークとしてセンター試験に照準を合わせて準備するその内容は、既に1年前には概ね学習を終えているものであるということなのです。そこから考えると私は、この平均点はもう少し高くならないものか、という思いを抱かずにはいられません。
なぜ高得点が取れないのか
センター試験を実施するおよそ1年前に既に履修している内容であるにもかかわらず、1年後の本番でなぜ高得点を取れないのか。ここにこそセンター試験で高得点を取るためのカギが隠されていると思います。
それは、センター試験の試験範囲を日々学習している、まさにその高1・2生の間に、そのことを意識した勉強が必ずしも十分には行えていないのではないかということです。言い方を変えれば、「入試を意識した学習に、普段から取り組めているかどうかが、得点上昇のカギである」ということではないかと思うのです。
明日の小テストのために、来週の期末考査のために・・・、そうしたさしあたって目の前にあるものに対してすら十分な準備ができない者が、さらに大きな壁を乗り越えることなど到底できないと思います。ですから私たちは、日々の小テストや、期末考査にもきちんと向き合ってもらいたいと考えます。
しかし、日々の小テストに埋没しすぎた結果、本来のゴールである大学入試に向けて、ベクトルがそろわない学習を積み重ねてしまうと、これもまた本末転倒となってしまいます。したがって、センター試験で高得点を取るためには、高1・2生の間の日々の小テストや期末考査にきちんと向き合うことと、その段階から大学入試を見据えることの「バランス」が重要だということになります。では、どうすればバランスをとることができるでしょう。
ポイントは2つ~学習量の確保と入試を意識すること~
子どものころ、補助輪を外して自転車に乗る練習を誰もがしたと思います。うまくバランスを取って乗るにはさまざまなコツがありますが、ポイントは大きく2つあると思います。
・とにかく思い切ってペダルをこぐこと。
・前輪のすぐ先ではなく、数メートル先に目線を置くこと。
自転車は推進力を得て、車輪に回転を加えないと、自立し安定することができません。また、目線が目の前になってしまうと、どうしてもハンドルがふらふらしてしまい、うまくコントロールできません。
このことは大学入試においても同じです。
・ペダルをこぐ=学習量を確保すること。
・目線を先に置く=「入試」を意識した学習を行うこと。
高校生は、日々学習していく中で、自転車の練習でいうところの、転んでひざをすりむくような経験を何度もしていると思います。しかしその中から、少しでも早く、先の2つのポイントに気づいた者が、おそらく自立した学習を行えるようになるのでしょう。センター試験を終えた今こそ、高1・2生のみなさんには、入試に向けての準備のあり方についてあらためて考えていただきたいと思います。
高3生のみなさんは、私立大学・国公立大学2次試験に向けて、最後まで自分を信じ、諦めずに立ち向かってください。目の前に未来へのドアはあります。ただしそれを開けるのは皆さん自身です。健闘を祈ります。