モチベーションアップ法

 季節は秋から冬に移ろうとしているこの時期。高3生は受験直前期となりました。できることは全てする、の精神で、最後まで走り抜きましょう!
 そして、その先輩たちを見ている高1・2生、最近はどんな風に過ごしていますか?受験勉強をスタートさせた人、そろそろ始めなければ…と思っている人、定期テストに向けてやらなければ、と思っている人、いろいろな人がいると思います。中には、どうも気乗りしなくて…という人もいるのではないでしょうか。本日は受験情報から少し離れて、モチベーションを支える「目標設定」についてお話しします。小さなことでも、大きなことでも、どのように目標を立てれば少しでも前に進めるかが分かるはず。保護者の皆様にとりましても、お子様の背中をそっと押す一助になれば幸いです。

モチベーションが下がるとは?

 モチベーションとは動機付けとも言い、何かに向かっていく原動力、エンジンのようなイメージでしょうか。この強弱が行動に大きく影響をする体験を実際にした方も多いのでは無いでしょうか。人の心とは繊細なもので、このモチベーションを自分で自在にコントロールするのは簡単ではありません。プロスポーツの世界には専門のメンタルトレーナーがいるくらいです。彼らがメンタルコントロールをどれだけ重視しているかが分かります。

 勉強のモチベーションが下がる要因はいくつか考えられますが、ここでは目標の観点から2つの要因を検討します。1つは目標が高い(レベル)、あるいは遠い(結果が出る時期)ことによって達成感が得られないこと。受験の日は決まっていますから、それに合わせて目標を設定します。時期によっては達成がかなり先のことになります。よって、目標は現状からの成長を見込んで高く置くこともあり得ます。その結果、数日勉強したくらいでは達成感を得られず、続けられなくなってしまいます。もう1つは目標が曖昧なために続ける意味がうやむやになってしまうこと

 もともと勉強にあまり気が乗らない人であれば、勉強そのものを目的にはしづらく、達成した後の未来が目的になるのは当然です。また、達成した後の未来を強く願えば願うほど、その過程に身が入りやすくなります。ですから、どんな風に目標を立てるかは、その後の行動を変えるカギになります

SMART理論

 ここで、目標設定における一つの考え方として、SMART理論を紹介します。SMART理論とは、1980年代に初めて紹介されて以来、ビジネスの場で広く用いられてきました。これは高校生の勉強にも応用できます。

SMART
 S=specific…具体的な
 M=measurable…測定可能な
 A=achievable…達成可能な
 R=relevant…関連性、ここでは目的との関連性
 T=time-bound…期限がある
それぞれの5つの英単語の頭文字を取ったものです。これらは、より達成につながりやすい目標を立てるために必要な要素です。ここから1つずつ説明をしていきます。また、立てる目標は常に5つ全てを兼ね備える必要はありません。考える時のヒントにしてみましょう。

S=specific 具体的な

 目標とは、何をもってそれを達成したと言えるのかが具体的でないといけません。何となくこの大学かな~とか、何となくこうなったらいいな~とか、そういう目標設定であれば、いずれ何のために勉強しているのか分からなくなってしまいます。目標は具体的であればあるほど実現しやすいものです。
 例えば、○○大学の△△学部に行って、こんな部屋に住んで、カーテンの色は何色で、朝ごはんの定番はこれで、こんなサークルに入って…という具合に、目標を実現した後の自分を想像してみましょう一人暮らしを体験するために、休日の朝ごはんを試しに自分で作ってみるのもいいですね。また、自分が志望する大学に合格した先輩の体験談をインターネットで調べてみるのも良いです。目標を実現した人がどのような受験生活を送っていたか知ることで、目標に見合う生活を具体的に知ることができます。

M=measurable 測定可能な

 (達成度を測るためには数値で表すのが分かりやすいです。当然、大学受験においては「合格」か「不合格」の2択しかありませんので数値化は難しいです。そこで、日々の勉強や生活の場面を想定してみます。例えば、勉強時間や問題集を進めるページ数、起きる時間に寝る時間、スマホの使用時間など、どうであればOKなのかを自分で決めておくと、できなかった時にも反省がしやすいです。もちろん全部何もかも決めると身動きが取れませんから、自分なりに修正したい部分に焦点を当てて数値設定をするとよいでしょう
 また、模試の成績数値も有効な目標と言えます。模試は実施日も決まっているため、対策のスケジュール管理がしやすいです。入試本番まで、小さなステップを上がっていくイメージです。

A=achievable 達成可能な

 これは、その目標の実現可能性です。数値目標にせよ、○○大学に合格するという大きな目標にせよ、現状の自分との間にギャップがありすぎるとうまくいきません達成できなかった原因を自分ではなく、高すぎた目標に求めてしまい、改善ができません。勉強時間の目標を立てるなら、まず自分がいまどのくらい勉強していて、自由に使える時間がどのくらいあるかを調べてみることです。起きる時間や寝る時間も、日中の活動に支障が出るほどの時間を設定したり、いきなり全てを勉強時間に充てると意気込んだりしても、継続ができません。生活の見直しは、それを習慣にできて初めて達成したと言えます
 志望校については、学校や塾の先生とも相談をして、その実現可能性を吟味しましょう。どのくらいの可能性であれば折れずにやっていけるかは個人差があります。先の見えない高い壁を越えるほうが奮い立つ人もいるでしょうし、ずっとゴールを視界に入れながら走るほうがやりやすい人もいます。大切なのは、自分がどんなタイプかを分析したうえで目標を設定することです

R=relevant (自分の目的との)関連性があるか

 目的とは何でしょうか。例えば、1日に7時間勉強することを目標としたとします。目的とは、「それが何のための目標か」を示すものです。ここで言うと、「○○大学合格」や「△△の単元を克服して次のテストで80点以上を取る」というものです。つまり、この目的を叶えられるかを考えたときに、ズレがあってはいけませんし、誰かに言われたからよく分からないけどそうしている…という目標は、自分のものにできていないため、前向きに取り組みづらいです。とりあえずやってみる、の姿勢は、始めるきっかけにはよいですが、継続するには自分自身の納得が必要です

T=time-bound 期限があるか

 いつまでもやっていいよ、と言われてやり続けることができるのはおそらく趣味の領域でしょう。しかし、期限を決めて取り組むからこそ、先延ばしを防ぎ成果が出やすくなります。当然、「大学現役合格」を目標とするならば、入試の日は決まっていますから、それに向けて取り組みます。受験は常にtime-boundですね
 しかし、例えば「この問題集を1周解ききる」という目標を立てたとして、それがいつまでなのか決まっていないとしたら、それは計画性の観点でも不十分です。基礎の問題集が入試の直前に1周できたとしても、それは本当に達成したと言えるでしょうか?
 したがって、何か目標を立てる場合には、それがいつまでに達成(完了)できていればよいのかもあわせて設定しておきます

目標設定のその後

 目標を立てた後には、実際に達成できたか検証が必要です。それには模試の成績データや勉強記録が必要になることもあります。目標の向こう側にある自分の目的が叶えられるかどうかの分かれ道に立っているならば、何となくできなかった、とか、なんとなく続いていない…という反省ではもったいないですし、後悔のもとです。勉強時間の記録を取ったり、問題集の進み具合はこまめに見て、ペース配分の計算をしたりしましょう。また、途中経過が振るわなくても目を背けず、それを受け止めてどこを修正したら期日までにその目標は達成できるのか見直しをします。目標は実現してこそのものです

 最後に、「1日くらいさぼっても、また明日すればいい」この考え自体はあり得ます。しかし、明日の自分が必ず実行に移せるかという保証もありません1度離れたものに再び戻ってくるには、相応のエネルギーが必要です。このように考えれば、毎日少しずつでも続けるのは大変かもしれませんが、実はその方がエネルギーの節約になっているという見方もできますね

 期末テストのあとは冬休みです。この冬はどんな冬にしますか?まずは冬休み終了までを期限に、何か1つでも目標を立てて達成してみましょう!

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