2016年大学入試センター試験を終えて

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2016年1月16日(土)17(日)の2日間、大学入試センター試験(以下、センター試験)が実施され、全国の受験生がそれぞれの目標実現に向けて、果敢に挑みました。センター試験は大学入試の第一関門ともいえる試験であり、センター試験の自己採点の結果をふまえて、最終的な受験大学を決定する、というのが一般的な流れです。
この自己採点を終えた後の生徒の様子は、最高得点に歓喜する生徒もいれば、二次試験での逆転に向けて決意を新たにする生徒もおり、実にさまざまです。どちらにせよ、これからが正念場です。冷静に、丁寧に、最後まで取り組みぬいてほしいと思うと同時に、私たち担当も最後までサポートしていきたいと考えています。

基礎的な内容=易しいとは限らない

このセンター試験、大学入試センターのHPを確認すると、その役割について、『大学(短期大学を含む。以下同じ。)に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的とするものであり・・・』と述べられていますが、「基礎的な学習」とはどのような学習を指すのでしょうか。また、生徒さんから「基本的な問題はできるが、応用問題になると解けなくなる」と相談されることがよくありますが「基本的な問題」と「応用問題」の境界はどこにあるのでしょう。
教科書に記載されていれば基本、参考書に記載されていれば応用、というのは少し乱暴な気がします。仮に、基本的な問題を「ある単元で学ぶ知識を一つないしは二つ程度用いて解答できる典型的な問題」とするならば、応用問題は「各単元で学ぶ知識を複数、場合によっては単元を横断して組み合わせて活用することで解答できる問題」となるでしょうか。
前者は各単元を学びながら取り組めるものであり、後者は複数の単元の学習を終えることで初めて取り組めるもので、当然後者の方が難易度は高いですが、基本問題であっても、用いられている知識が理解の難しい内容であるならば、その問題は決して易しいとは言えません。
言い換えれば、基礎的な内容を問うテストが、易しいテストになるとは限りません。センター試験の平均点は年度や教科によって変動はあるものの、おおむね6割です。基礎的なテストだから易しい、となるのであれば、多くの受験生が、ほぼ一年準備をして臨んでいるのですから、平均点はもう少し高くてもよいのではないか、と思います。そう考えるとセンター試験は、二次試験などに比べると難易度は下がるものの、一般的な受験生にとって、必ずしも易しいテストとは言い切れないと考えた方がよさそうです。

受験準備は逆算

一方で、難関国公立大学合格者のセンター試験平均点は、8割を超えているというデータもあります。この差はいったいどこから生じるのでしょうか。
センター試験の出題内容は高1・2生のときに学ぶ内容が中心です。受験勉強をした生徒が受けても、平均点が6割程度にしかならないということは、高2生の時点で受験をすれば、平均点はどのくらいになるのでしょう。仮に5割程度だとすると、高校生の約半数が「基礎的な学習」で学んだ内容を自分のものにしきれないまま受験学年を迎えている、ということになってしまいます。そうならないためには、センター試験の出題範囲を日々学習している高1・2生の間に、内容の取りこぼしがなるべく出ないように取り組むことが当然必要になってきますが、現実には、そのときどきで勉強に集中しきれない事情ができてしまい、高3生になってからその取り戻しに時間を費やすことになってしまっている高校生がかなり多いということ、そして、それを仕方のないことだと受け止めてしまっている高校生も多いのではないかと予想されます。
高校での学習は大学受験準備のためだけに取り組むものではありませんが、卒業時の出口として大学進学を念頭においている生徒やご家庭が多いのも事実であり、そこから考えると、勉強の優先順序は低くはないはずです。
スポーツで考えてみれば、日ごろの地道な練習こそが大切で、大事な試合の直前だけ猛練習してもいい結果は望めないと容易に想像できます。それは、勉強においても同じではないでしょうか。
センター試験の実施日は「1月13日以降の最初の土曜日、日曜日」と決められています。したがって、受験を希望する生徒には平等に一定の準備期間が与えられ、その期間をどのように過ごすのか、は各自の責任の上で、「自由」です。日ごろ、自分が取り組んでいる勉強が、大学受験にはどのように結びついていくのか、その意識を自ら持っている、あるいは意識を持つように促されて取り組んでいる生徒とそうでない生徒の間には、受験学年一年間では容易に埋められない学力差が少しずつ、しかし確実にできていく、ということになるのでしょう。

今できることは何か

では、大学受験に向けて意識を持つ、とは具体的にはどういうことなのでしょうか。究極的には自身の将来について真剣に考える、ということになるでしょう。大学進学はその中の一つの選択肢ですから、その選択肢を自ら選んだ、という自覚があって初めて、勉強に正面から向き合うことができます。これは口で言うほど簡単ではありません。ときに生徒さんを苦しめるものですが、大いに悩んでください。一生に関わることですから、それが普通です。もちろん、私たち担当も一緒に悩みます。でも、最後は自分で決めることが重要です。
次に、受験準備につながる学習として日々の学習で気をつけたいことを考えてみます。これまでいろいろな生徒さんを担当させていただいた経験を元に、学習量や学習習慣といった物理的な部分は前提として「学習の質」についてまとめてみました。
答えのみを求めない
答えは気になります。ですが、その答えを導く過程、必要になる知識を大切にし、自分で解答を再現できるように取り組むことが重要です。学校の課題、予習、復習、すべてにおいて意識してください。課題提出の締め切りを意識するあまり、とりあえず埋めて提出する、というようなことを繰り返していると、身につくものはほとんどない、と思った方がよいです。
間違いを怖がる必要はないが、同じ間違いを繰り返すことは怖がるべき
間違うことで学べることもあります。要はそれを次に活かせるか、です。
テストや模試は受験後の取組みが最も重要
テスト勉強には熱心なのに、返却された答案は点数しか見ていない、という生徒さんは多いです。答案を見れば、自分が理解できていなかったところがどこなのかわかります。そこに目を向けず、結果のみに一喜一憂するのはもったいないことだと思います。
今までにもどこかで目にしたことのある、月並みな事柄ばかりかもしれませんが、それだけ大切なことなのだと受け止めていただければと思います。
勉強は、正しい方法で正しい方向に向かって適切な労力と時間を費やせば、必ず成果を得られます。今、結果がなかなか出なくて煮詰まっているとしても、方法と方向に自信が持てるなら、迷う必要はありません。
センター試験を終えたこの時期には、それぞれの学年ごとに、受験に対して考えること、感じることがあると思います。高1・2生のみなさんには、日々の学習に対する姿勢と、入試に向けての準備は線でつながっているということを、再確認して欲しいと思います。高3生のみなさんには、合格を勝ち取るその日まで、諦めず走りぬいて欲しいと思います。ゴールはもう近くまで来ています。健闘を祈ります。
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